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筋トレ後のサウナは身体の疲れを癒すだけではないことを知っていますか?トレーニング終わりにサウナに入ることで、筋肉の成長を促すことができるのです。
この記事では、アメリカのフロリダ大学の研究結果をもとに、サウナが筋肉の成長を促す理由について解説します。さらに、サウナ発祥の地であるフィンランドでは、トレーニングとサウナをどのように取り入れられているのかも紹介します。
筋トレ後によくサウナに入る人や、サウナが気になっているトレーニーの人はぜひチェックしてみてくださいね!
フロリダ大学による研究結果
アメリカ・フロリダ大学による研究では、マウスをもちいた温熱療法の実験がおこなわれました。ここでいう温熱療法は、医療の現場でおもにガン治療のために使われている療法ではなく、民間療法として身体をあたためるケアのことを指します。
この研究では、断続的な温熱療法をおこなうことで、骨格筋の再成長をより高めることができるかどうかを実験しました。実験の方法は以下の通りです。
「40匹のマウスを無作為にいくつかのグループにわけ、何もしないマウス・動きを固定したマウス・再荷重をかけたマウス・再荷重をかけつつ温めたマウスの3つに分類し反応を見る」(※1参照)
この実験の結果、再荷重をかけられつつ温められたマウスは、ヒラメ筋の成長率が最大で30%高かったことがわかりました。また、身体の酸化ダメージも他の制限があるマウスよりも低く、何もしていないマウスとほぼ同じ数値であるといった結果が出ました。
この研究から、負荷をかけた状態でも身体を温めることで筋肉が発達しやすくなり、さらに身体の酸化ダメージを抑えることができるということがわかりました。
なぜ温められることで筋肉が成長したのか?
私たちのカラダは、激しい運動やムリな筋トレをやりすぎると活性酸素が発生します。この活性酸素は筋肉や細胞にダメージをあたえ、老化を促します。また、筋肉痛の原因もこの活性酸素です。
実験のマウスの筋肉量もこの活性酸素がかかわっています。温められたマウスの筋肉量が他のマウスよりも多かったおもな理由は、温めることで酸化ダメージをおさえられたからです。
身体に負荷をかけることで筋肉量はアップしますが、あまりにも負荷をかけすぎたり、長時間の負荷になると、逆に体内で活性酸素が多く発生するので、筋肉もダメージを負います。そのため、筋肉がうまく発達しません。
しかしこのマウスの実験から、身体を温めることで活性酸素をおさえ、筋肉量アップを促すことができるとわかったのです。
活性酸素をおさえるためには、ムリな運動をしないこと、そして普段から適度に筋力を高めることが大切です。適切に運動をつづけられていれば、代謝がよくなり身体の抗酸化機能がアップします。
これに加えて、身体を温めることも大切です。だからこそ、筋トレ後にサウナに入り身体の酸化ダメージをやわらげ、筋肉の成長を促しましょう!
ヒートショックプロテイン効果
マウスの実験において、温めることで酸化ダメージをおさえられた原因のひとつとして、「ヒートショックプロテイン効果」があげられると解説しています。
ヒートショックプロテインとは、身体のなかでつくられるタンパク質のことです。おもに、傷ついた細胞を修復する役割があります。そのため、ハードな運動をしたあとや、疲れが溜まっているときなどにヒートショックプロテインが増えると、身体の回復力がアップするのです。
ヒートショックプロテインは、身体を温めることによって発生します。マウスの実験においても、温められたマウスのヒートショックプロテイン量が他のマウスよりも多かったことがわかっています。
そのため、身体を温めることによって体内でヒートショックプロテインが増え、活性酸素の除去を促せるのです。
フィンランドでもトレーニング後は必ずサウナ!
トレーニング後に身体をあたため、酸化ダメージをやわらげるためには、やはり入浴やサウナがおすすめです。ジムにもサウナが併設されている場合は、かならず利用しましょう。
サウナの本場であるフィンランドでも、ジムには決まってサウナが併設されています。プールやジムにサウナがついていないと、フィンランドの人たちの満足度はいっきに下がるそうです。
また、ジムに行かずとも、フィンランドには森や湖などの自然のランニングコースがたくさんあるので、ランニングをしている人たちがたくさんいます。そんな彼らは、運動とサウナをどのように組み合わせているのか?その一例を見ていきましょう!
①適度なランニング
前述した通り、フィンランドのランニング人口はかなり多く、とくに春から秋の雪がない時期は多くのランナーを見かけます。もちろん人によっては長距離をガッツリ走る人もいますが、仕事終わりなどに走る人も多いので、ムリをせず適度な距離で終わらせます。
②サウナ
ランニングが終わったらシャワーを浴びてサウナへ。ジムに通っている人はジムにあるサウナに行きますが、フィンランド人は自宅にサウナがある家庭が多いのです。そのため、外でランニングを済ませたら家のサウナに入る人もたくさんいます。サウナは身体がほどよく温まったら終了。
③ご褒美のビール
サウナ後のビールはフィンランド人にとって欠かせません。「せっかくトレーニングしたのにもったいない!」と思うかもしれませんが、フィンランド人は気にしないのです。「今このひとときを楽しむんだ」と言い訳しながら、ゆったりと運動とサウナ後のビールを楽しみます。
フィンランドではノンアルコールビールもかなりの種類があるので、健康を気にしている人はアルコール無しのビールを飲むこともしばしば。ビールの消費量が世界トップクラスのフィンランドならではの締めくくり方です。
まとめ
身体を温めるとヒートショックプロテイン効果により、筋肉量アップにつながります。また、筋肉を傷つけてしまう活性酸素を出さないためにも、ハードな運動をしすぎないことが大切です。そして、トレーニング後にサウナなどで身体を温めると、活性酸素が出にくくなるので筋肉の成長に効果があります。
激しい運動もいいですが、自分のペースで身体を動かしたほうが疲れもたまらずスッキリしやすいですよね。フィンランド人のように自分を追い込みすぎず、今を楽しみつつ身体づくりをした方が長期的にいい結果が出そうです!
参考文献のURL
※1
https://journals.physiology.org/doi/full/10.1152/japplphysiol.00722.2006
J. T. Selsby, S. Rother, S. Tsuda, O. Pracash, J. Quindry, and S. L. Dodd “Intermittent hyperthermia enhances skeletal muscle regrowth and attenuates oxidative damage following reloading” (2007.4.1)