街を歩いているとベジタリアン向けのメニューを出してることをアピールしている飲食店を目にすることが増えてきました。
以前は渋谷や原宿といった若者に人気な街や、オシャレなイメージがある青山や代官山などばかりでしたが、最近では地名はもちろんのこと、料理のジャンルも関係なくなってきました。
テレビでも話題になった
ビーガンラーメンやベジタリアンラーメン
などが良い例だと思います。
もともとは海外に多いベジタリアンの方々!
それがいまでは、InstagramなどのSNSやインターネットで簡単で情報を得られるようになり、
「健康のため!」
「オシャレそう」
はたまた、
「動物がかわいそう!」
などと様々な理由がきっかけで日本に伝わるようになりました。
またベジタリアンが広まると同時に、ここ数年で筋トレ文化も日本で広がりをみせています。
エニタイムフィットネスさんのような24時間ジムの店舗数が、
2010年ころから増え始め、最近では筋トレ女子というワードを耳にするまでカジュアルな存在になりました。
しかしベジタリアン文化が盛んで健康的だと思うことと同時に、
「筋トレとベジタリアン生活は両立できるのか?」
という疑問を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
この記事では筋トレとベジタリアンの本場である、
欧米の論文を参考に、
「筋トレとベジタリアン生活を両立するための栄養の取り方」について紹介します。
筋トレで大切なことは、食事です。
人は食べた物で体が作られます。
この記事が筋トレをしているベジタリアンの人、ベジタリアンだけど筋トレに興味がある人の助けになれたら幸いです!
※今回参考にした論文はこの記事の最後にURLを用意しております。
ベジタリアンのためのタンパク質の補給方法
卵、牛乳を積極的に取り入れる
卵は完全栄養素といわれており、食物繊維とビタミンC以外は摂取できます。必須アミノ酸もパーフェクトな優れものです。筋トレをする人なら必ず食べたいマストな食品の1つです。
ベジタリアンだと、牛乳より豆乳を選んでしまう人は多いのではないでしょうか。豆乳の方がよりベジタリアンで健康なイメージは多少なりとも存在します。
しかし筋肥大を望むのなら、大豆タンパク質より牛乳タンパク質の方がアミノ酸スコア的に効果的だといわれています。
アメリカで56人の若い男性を対象に、ホエイプロテインとソイプロテインをグループごとに分かれて飲んでもらう実験が行われました。期間は3カ月で、週5回のトレーニング後に摂取します。その結果、ホエイプロテインのグループの方が筋肉の表面積の上昇がみられました。
偏らないで様々な食材をバランスよく取り入れる
タンパク質は20種類のアミノ酸からできており、そのうちの9種類は必須アミノ酸です。必須アミノ酸は食事からとるしか方法がないのですが、ベジタリアン食だと偏りやすくなります。
卵や肉、魚はまんべんなく必須アミノ酸が含まれていますが、植物性食物は食品にもよりますが、9種類ある必須アミノ酸のうちどれかが不足していることが多いです。特にベジタリアンで不足する可能性があるのは、この9種類のうちのリジン、メチオニン、イソロイシン、スレオニン、トリプトファンの5種類です。
植物性食品からタンパク質を補うには、穀物、豆類、種子類を組み合わせて食べることを意識しましょう。
例えば穀物はリジンが含まれていないので、リジンが豊富な豆類も食事に取り入れることで補い合うことができます。
植物性タンパク質は消化吸収効率が悪いので量が必要
植物性タンパク質は動物性タンパク質よりも消化率が悪いことがわかっています。
21人の女性に4日間のベジタリアン生活をしてもらい、タンパク質吸収率を調べた実験があります。その結果、食事摂取基準(DRI)のタンパク質摂取基準値が100だとすると、ベジタリアン食の場合およそ80%しか吸収されていないことがわかりました。
また他の論文によると、運動している人が摂るべきタンパク質量は体重×1.4-2gに対して、ベジタリアンの人は体重×1.8-2.7gのタンパク質量が推奨されています。
しかしプロテインは話が違っていて、ホエイプロテインとソイプロテインの吸収率は大差がないといわれています。
ですので、ベジタリアンの人は積極的にソイプロテインを摂取したほうが、1回1回の食べる量が多くなりすぎないのでおすすめです。
※プロテイン探してお悩みの場合はゲーム感覚で楽しめる、プロテイン診断メーカーを用意しております。
ベジタリアンで問題になりやすいのが脂質の摂取
n-6系脂肪酸が過剰摂取になりやすい
多価不飽和脂肪酸(たかふほうわしぼうさん)の1つであるn-6系脂肪酸(オメガ6)は、植物性油に多く含まれているリノール酸がほとんどです。
ベジタリアンの人はこのリノール酸を過剰に摂取している傾向にあるとわかっています。リノール酸はヒマワリ油や大豆油、サフラワー油やコーン油に多いです。
n-6脂肪酸は細胞膜を構成するために必要ですが、過剰摂取するとアレルギーなどの炎症を起こす原因になってしまいます。イギリスでは1日の総摂取カロリーの10%をn-6系脂肪酸量の上限に設定されています。1日1800カロリーが設定の人なら180カロリー分でおよそ20gです。
ベジタリアン食はどうしても味に旨味やコクを感じることが難しくなってしまうので、ドレッシングをかけたり、揚げたり、炒めたりして油を使いすぎないように注意しましょう。
オリーブオイルをお勧めします。
サラダには、エクストラバージンオイルにマジックソルトを組み合わせば、無敵です。
お近くのスーパーなどでも手軽に購入出来ます。
S&B マジックソルト オリジナル 80gn-3系脂肪酸は不足しやすい
同じくn-3系脂肪酸(オメガ3)は多価不飽和脂肪酸です。n-3系脂肪酸はa-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられます。
EPAとDHAは主に青魚に多く含まれるので、魚を食べないベジタリアンにとっては不足しがちな脂肪酸になります。
n-3系脂肪酸は抗炎症効果や血管を整えたり、脳や神経の働きに大切な存在なので欠かせない存在です。論文によると、1日500-1000mg以上の摂取が推奨されています。
推奨されているベジタリアンの人がEPAとDHAを摂取する方法は、「海藻由来サプリメント」です。血中EPAレベルとDHAレベルを両方上げる効果がわかっています。
飽和脂肪酸も忘れずに!
肉や乳製品に多く含まれる飽和脂肪酸は、あまりいいイメージを持たれていません。
多すぎると糖尿病や肥満などの生活習慣病の原因になってしまいますが、少なすぎると脳出血の原因にもなってしまいます。農林水産省や各論文には脂質は総摂取カロリーの20-30%が望ましいとされており、そのうちの飽和脂肪酸量は7%以下といわれています。
ですので、筋トレしていて体脂肪がつくことを恐れている人も、ベジタリアンかどうか関係なく飽和脂肪酸は多少は必要です。
乳製品に飽和脂肪酸は含まれていますが、
ココナッツ油やヤシ油からも摂取できるので積極的に取り入れましょう。
筋トレするならその他の栄養素も必須
ビタミンB12が特に不足しやすい
ベジタリアンで特に不足しやすいビタミンです。
ビタミンB12は各コバラミンの総称であり、肉や魚、貝類にしか含まれていません。海藻にも含まれますが、量はかなり少ないです。
コバラミンが不足すると神経系の働き、ホモシステインの働きの低下による脳疾患やDNAの合成に悪影響が生じます。1日の平均摂取推奨量は2.4mcgです。
食品から摂取が難しいので、サプリメントからの補給が推奨されています。特にビーガンにまでになると皮下注射や筋肉注射が必要になる可能性も生じるでしょう。
筋トレするならクレアチンにも気をつける
クレアチンは必須アミノ酸ではありませんが、アミノ酸の一種です。
肉や魚に多く含まれており、筋トレをしている人は雑食でもクレアチンを追加で摂取する人がいるくらい大切な存在です。
クレアチンを摂取して筋トレをすることで、筋肥大と最大強度が上昇することがわかっています。
クレアチンの効果を得るためにサプリメントを取り入れる場合は、3-7日間20g摂取し、その後3-5gずつ摂取する方法と、4週間毎日3-5gずつ摂取する方法が推奨されています。
まとめ
一般的に筋トレして筋肥大するためには牛肉の赤身や鶏の胸肉を食べなければいけない!
というイメージがありますが、食事内容に気を付ければベジタリアンでも問題ありません。
実際にInstagramなどのSNSを見る限り、世界中にはベジタリアンのボディビルダーが存在します。インドのプロボディビルダーであり、ボリウッドスターのVarinder Singh Ghumanさんは見事な肉体ですが、ベジタリアンを公表しています。
もちろん筋肥大に体質は関係してしまいますが、それよりも栄養バランスが大切です。
糖質をとるためには米や小麦などの主食らしい食品だけにせず、豆類や根菜も食べましょう。
タンパク質のためには卵や乳製品、レンズ豆や大豆などタンパク質が豊富な食品を偏らずに食べましょう。
脂質は植物性の油、特にオリーブオイル。ココナッツオイル、ヤシ油など色々とあります。
ビタミン、ミネラルは野菜にたっぷり含まれているので、ここではベジタリアンのアドバンテージを活かしてしっかりと摂取していきましょう。
もし十分な摂取が食事だけでは難しいようなら、ビーガン用、ベジタリアン用のサプリメントは星の数ほどあるのでご安心下さい。
特に筋トレしているベジタリアンにとって、たんぱく質摂取は難しいように感じますが、ソイプロテインで十分代替できます。
アミノ酸スコア、吸収率共に優秀なので優先して取り入れましょう!
参考文献:Vegan diets: practical advice for athletes and exercisers
参考文献:Protein dietary reference intakes may be inadequate for vegetarians if low amounts of animal protein are consumed
参考文献:Consumption of fat-free fluid milk after resistance exercise promotes greater lean mass accretion than does consumption of soy or carbohydrate in young, novice, male weightlifters
参考文献:農林水産省
参考文献:U.S. Department of Health & Human Services