
デッドリフトは実は2種類あります
デッドリフトには大きく分けて2種類あります。
・足を腰幅で行う「コンベンショナル(ナロー)」
・足を大きく開く「スモウ(ワイド)」
どちらも同じ“デッドリフト”ですが、使われる筋肉も得意分野も違います。
① ナロー(コンベンショナル)デッドリフトの特性

フォームの特徴
・足は腰幅
・手は足の外側
・上体は深く前傾する
主に使われる筋肉
・ハムストリング
・大臀筋
・脊柱起立筋(背中)
・僧帽筋
特徴まとめ
ナローは「背面全体」を強く使います。
可動域が長く、バーベルを引く距離も長い。
つまり、
"体の後ろ側を一気に鍛えられる種目"
全身のサイズアップを狙うなら、非常に優秀です。
② ワイド(スモウ)デッドリフトの特性

フォームの特徴
・足を大きく開く
・手は足の内側
・上体が比較的立つ
主に使われる筋肉
・内転筋(内もも)
・大臀筋
・大腿四頭筋
特徴まとめ
ワイドは可動域が短く、レバー的に有利。
そのため、重量は伸ばしやすい傾向があります。
「とにかく重さを扱いたい」なら合理的。
ジムで高重量を持ちたい人には魅力的な選択です。
重い=筋肉がつく、は単純ではない
「ワイドの方が重い重量を持てる → だから筋肥大に有利」
こう思われがちですが、実際はそう単純ではありません。
筋肥大は
"重量 × 張力 × 可動域 × コントロール"
ナローは可動域が長く、ストレッチ刺激が強い。
ワイドは高重量を扱いやすいが、動作距離は短い。
目的によって選ぶのが正解です。
目的別の使い分け
背中とハムを強くしたい
→ ナロー(コンベンショナル)
具体例:
・背中を厚くしたい
・ハムストリングを強くしたい
・姿勢改善や背面強化をしたい
ナローは前傾が深くなります。
その分、脊柱起立筋とハムストリングに強いストレッチ刺激が入ります。
つまり
「引く力」を作る種目。
ラットプルやローイングとは違い、
体幹ごと鍛えられるのが強みです。
内もも・臀部を強くしたい
→ ワイド(スモウ)
具体例:
・ヒップラインを作りたい
・内転筋を鍛えたい
・スクワットが弱い
ワイドは股関節主導で押し上げます。
そのため、
・大臀筋
・内転筋
・大腿四頭筋
が強く働きます。
いわば
「下半身で押すデッドリフト」。
脚の力を伸ばしたい人向きです。
高重量を扱いたい・パワー志向
→ ワイド
具体例:
・とにかく記録を伸ばしたい
・パワーリフティング志向
・ジムで重さを追いたい
ワイドは可動域が短く、
上体が立つためレバー的に有利。
同じ筋力でも、より重さを扱える可能性が高い。
ただし
「重い=刺激が強い」とは限りません。
目的が“記録”ならワイドは合理的。
全身の筋量アップを狙いたい
→ ナロー
具体例:
・初心者でまず全体を大きくしたい
・背中も脚もまとめて鍛えたい
・効率重視で種目数を減らしたい
ナローは可動域が長く、
背面連鎖をフルに使います。
つまり
「全身の基礎筋量」を作る種目。
最初の1本としては非常に優秀。
本質まとめ
ワイド=押す力・重量志向
ナロー=引く力・筋量志向
どちらが優れているかではなく、
"何を伸ばしたいか" で決めるのが正解です。
怪我の注意点
デッドリフトは優秀な種目ですが、
同時に「フォーム次第で危険にもなる種目」です。
ナロー(コンベンショナル)の怪我リスク
① 腰椎への強い剪断力
ナローは前傾が深くなります。
つまり、腰椎に大きな負担がかかる。
背中が丸まった状態で引くと、
・腰椎ヘルニア
・腰部筋膜炎
・慢性腰痛
のリスクが一気に上がります。
特に初心者は
「床から引く瞬間」に丸まりやすい。
▶ 対策
・胸を張る
・腹圧を入れる
・最初は軽重量で練習
② ハムストリングの過伸展
可動域が長い分、
ハムが硬い人は無理に引くと痛めます。
特に反動を使うと危険。
ワイド(スモウ)の怪我リスク
① 股関節のインピンジメント
足を大きく開くため、
・股関節が硬い
・外旋可動域が狭い
人は、股関節の前側が詰まりやすい。
無理に開くと
股関節の炎症を起こします。
▶ 対策
・無理に開きすぎない
・つま先の角度を調整
・ウォームアップを丁寧に
② 内転筋の肉離れ
ワイドは内ももに強いテンションがかかる。
急に高重量を扱うと
内転筋を痛めやすい。
特に冬場や柔軟性が低い人は要注意。
共通の最大リスク
「重さに ego が勝つこと」
フォームが崩れた瞬間に怪我をします。
デッドリフトは
“勢いで上げる種目”ではありません。
本質
ナローは腰リスクが高い。
ワイドは股関節リスクが高い。
どちらも悪い種目ではなく、
"自分の可動域と筋力に合っているか"
が最重要です。
重量よりフォーム。
これは本当に絶対です。
グリップについて

高重量になると、両手オーバーグリップでは滑ります。
そのため、多くの人は
"オルタネイトグリップ(逆手+順手)" を使います。
ただし、左右の偏りを防ぐために、持ち手は定期的に入れ替えましょう。
もし1種目だけ選べと言われたら
スクワット、ベンチ、ラットプル…色々あります。
それでも
「1つだけやれ」と言われたら、私はデッドリフトを選びます。
理由はシンプル。
"人間の背面を丸ごと鍛えられるから。"
立つ・持つ・引く。
すべての基礎になる動作です。
まずは軽い重量から、正しいフォームで。
デッドリフトを、ぜひあなたの軸にしてみてください。