こんにちは、ケンジです。
なんだかんだでトレーニングは20年ちかく続けています。
※この記事は管理人たもつ氏の代わりにケンジが作成しております。
きっとこの記事を読まれている方は、筋トレが習慣になってきて
- 身体に変化がでてきた
- 夜がぐっすり眠れるようにになった
- 少しだけど自分に自信がついた
そんな状況を楽しんでいると思います。
ただ、ここで問題が1つ。
筋トレの大敵、
「筋肉痛」です。
- 1~2時間ほど筋トレをガンバると、どうしても筋肉痛がでてしまう
- せっかくの休日、楽しみにしていた彼女とのデートも、筋肉痛のせいで気分はイマイチ
- 筋トレを行うタイミングによっては、仕事にも支障が出る
とくに30代ともなれば切実。
本音をいうと、受け入れたくない現実ですよね。
そんなこともあり
と考えている方もいるはず。
そんな悩みを「中国4000年の歴史」が解決してくれるかもしれません。
くわしくみていきましょう。
筋トレ後の筋肉痛:解決策は中国4000年の歴史にあった
中国4000年の歴史のなかで、いまだに受け継がれているもの。
それは「鍼灸治療(しんきゅうちりょう)」です。
東洋医学の1つということで、日本に住んでいれば受けたことはなくても見聞きしたことはあるはず。
じつは中国4000年の歴史を受け継ぐ形で、鍼については世界中でさまざまな研究が行われていることをご存知でしょうか?
そのなかで、鍼(はり)を使用したことにより“筋肉痛の症状が和らぐ”といった興味深い研究結果がありました。
ここからは鍼灸師でもある筆者が、論文の内容の一部を用いて解説したいと思います。
鍼(はり)は筋肉痛を抑える効果がある:論文データを用いて解説
筑波大学より、鍼と筋肉痛にかかわる研究データが発表されています。
参考:マラソン後の筋痛と筋硬度に対する円皮鍼の効果―二重盲検 ランダム化比較試験 による検討―筑波大学
研究結果によると「刺激の小さな鍼」を運動中に使用することで、なんと5日間も筋肉痛が軽減されたという結果がでることに。
運動中に鍼を刺したままだと危なくない?
安心してください。
実験で使用した鍼は、「円皮鍼(えんぴし)」といい「貼るタイプの鍼」として使用するものです。
鍼の部分もかなり小さく(0.3mmから1.5mm)運動中に使用してもほとんど支障はありません。
※実験では0.7㎜を使用
✔以下、参考画像
※筑波大学の研究で使用されたものと同じ会社の製品です。
- 被験者:男性12名、女性3名、計15名のマラソン初心者
- 円皮鍼(貼るタイプの鍼)を使用したことで、筋肉痛がどのように出るのかを比較
- 筋肉痛についてはVASにて測定
- 鍼を刺した(貼った)場所は、膝上2か所、膝下1か所、すねの内側1か所(ともに左右)
この研究では
- 8名→円皮鍼を使用
- 7名→偽物の円皮鍼(※)
※7名(プラシーボ群)は、独自に作成した鍼のない円皮鍼を使用。
✔筋肉痛についてはVAS(※)にて測定
※VAS:Visual Analogue Scale
以上のものを使用して、マラソン後の筋肉痛を測定。
結果は以下のグラフのとおり。
筋痛の程度は、円皮鍼群(えんぴしぐん)とプラシーボ群との間に差 が み られ (P<0.01)、
ゴール後か5日後まで円皮鍼群はプラシーボ群よりも低値を示した。
引用元:マラソン後の筋痛と筋硬度に対する円皮鍼の効果―二重盲検 ランダム化比較試験 による検討―筑波大学
このように“被験者がマラソンの最中に、円皮鍼を脚に貼ったことで筋肉痛が和らいだ”といった結果がでました。
鍼の効果については、日本だけでなく世界中で研究されているため、今後の発展に期待したいですね。
ケガをしている時に、鍼やマッサージを受けることで症状が悪化する恐れがあります。
その際は、適切な処置をしていただくようお願いします。
鍼ってどうして効果あるの?
でも、鍼を刺しただけで痛みがマシになる理由はいったい?
むしろ体に鍼が刺さるから痛そうなんだけど?
たしかに鍼を刺すことで、すこし痛みが出ることはあります。
そう考えると不思議ですよね?
実は、鍼をウマく利用することで「痛みを抑える3つの反応」が体内で起きているのです。
- 軸索反射(じくさくはんしゃ)
- アデノシンによる痛覚ブロック
- 下行性痛覚抑制系(かこうせいつうかくよくせいけい)
まさに人体の不思議。
とはいえ、ちょっとややこしいので、なるべくカンタンに説明させていただきますね。
軸索反射(じくさくはんしゃ)とは?
鍼の刺激によって血管が拡がる反射
”鍼を刺した場所の血流がよくなる”といったらイメージしやすいかと思います。
わかりやすい写真がコチラ。
鍼を刺した場所が、ほんのり赤くなっているのがわかりますよね。
この状態がどういうことかというと、鍼の刺激により軸索反射が起きることで、血管が拡がり血流が良くなっているということです。
- 鍼の刺激により軸索反射が起きる
- 軸索反射で血管が拡がる
- 血流が良くなる
- 筋肉内にある老廃物も流れていく
図で説明すると、以下のようになります。
このように鍼の刺激により、血液の流れが良くなることで、筋肉の血管内にある老廃物も一緒に流れていくということですね。
ちなみに、さきほどの筑波大学の論文内でも、以下のようなことが書かれています。
円皮鍼(えんぴし)による持続的な皮内および皮下刺激が、軸索反射等を介して局所の循環を改善しマラソン後の筋 痛を軽減させたものと考える。
引用元:マラソン後の筋痛と筋硬度に対する円皮鍼の効果―二重盲検 ランダム化比較試験 による検討―筑波大学
マラソン後の筋肉痛が和らいだのも、鍼(円皮鍼)の刺激による「軸索反射」が起きていた可能性があるということですね。
アデノシンによる痛覚ブロック
こちらはマウス実験となりますが、鍼を刺すことで「アデノシン」という神経伝達物質が出ることにより痛みをやわらげる、といった研究データがあの有名な科学雑誌natureでとりあげられています。
M Nedergaardらはマウスの膝周辺にある伝統的な鍼のツボにあたる場所に細い鍼を刺し、鍼師が行うように小刻みに回転した。足に炎症のあるマウスではこれにより疼痛反応が軽減され、また、神経伝達物質アデノシンの組織濃度が局所的に激増した。除痛には痛覚伝達神経線維上にある特定のアデノシン受容体が必要であり、この受容体はこれら線維の活性を低下させることが知られている。
引用元:鍼が痛みを突破する仕組み nature asia
カンタンに説明すると、痛みを感じる神経の働きをアデノシンが抑えてくれるということです。
- 鍼の刺激によってアデノシンが出る
- そのアデノシンが痛みを感じる神経にあるアデノシン受容体へ
- アデノシンが受容体にくっつくと痛みの感覚をブロックする
図で説明すると、以下のようになります。
ちなみに鍼を刺した場所は「足三里」という比較的メジャーなツボです。
場所でいうと、以下の画像のあたり。
下行性痛覚抑制:内因性オピオイドが大活躍
痛みを感じた時、人間の身体では以下のような「痛みを抑えるシステム」が働いています。
- 痛み刺激により、痛みを感じる神経が「痛い!」という情報を脳へおくる
- 脳で痛みを感じる
- 脳の中に出てくる痛みを抑える物質(内因性オピオイド)が痛みを抑える神経のスイッチを入れる
- 痛みを抑える神経により、痛みを感じる神経の働きを抑える
※かなり省略しています。
図で説明すると、以下のようになります。
ここに鍼の刺激が入ると、以下のような状態になります。
鍼のわずかな痛み刺激によって、脳内に痛みを抑える物質(内因性オピオイド)がいつもより多めに出るといった研究結果が出ています。
鍼鎮痛の主要な機序であるこの下行性痛覚抑制系は,痛み感覚があり,下行性痛覚抑制系がまだ十分に賦活されていない時に,鍼灸刺激を行うことにより C 線維や Ad 線維を上乗せ的に興奮させて中枢への入力量を増やし,この系を賦活させて鎮痛効果を発現させるものであると考えられる。
引用元:鍼回旋刺激および輻射熱刺激による後外側腹側核の侵害受容性ニューロンの活動の抑制―鍼鎮痛における上行性痛覚抑制系の関与の可能性―
✔鍼のデメリット?
ここまで、さんざん「鍼すげえ」みたいなことを書いてきました。
しかし、効果には”かなり個人差がある”といった点について、ご理解いただきますようお願いいたします。
まとめ
筋トレにおける最大の敵ともいえる「筋肉痛」
そんな悩みを、中国4000年の歴史でもある鍼が解決してくれる可能性があります。
鍼の効果としては「筋肉痛を和らげる」という結果が、筑波大学の研究により発表されています。
痛みが和らぐ理由として、鍼の刺激により人体には
- 軸索反射
- アデノシン
- 下行性痛覚抑制
といった反応が出ることで”痛みが和らぐ”といった効果が期待できます。
筋トレ後の筋肉痛に悩んでいる方は、いちど試してみる価値もあるのではないでしょうか?