研究内容の紹介
筑波大学での研究で、年齢による人間の筋線維の変化についてのものがあり、興味深いものがありました。
対象者は、筑波大学病院で手術を受けた24名(男性7名、女性17名)。
研究では、大腿筋(これは太ももの筋肉)や臀筋(お尻の筋肉)から筋肉のサンプルを採取します。その後、これらの筋肉サンプルは特定の染色技術を用いて分析されます。これらの技術には、Myosin ATPase、DPNH-diaphorase、Amylase PASなどが含まれます。これらの方法は、筋肉の様々な特性や状態を詳しく調べるのに役立ちます。たとえば、Myosin ATPaseは筋肉繊維のタイプを識別するのに使われ、DPNH-diaphoraseは筋肉の酸化還元反応を見るのに、Amylase PASは炭水化物の存在を検出するのに使われます。
っと難しい話はおいといて、なにが興味深いかというと、
早いうちに筋トレが出来るうちにしっかりとトレーニングを行い、筋トレしておくと、
高齢になった時に良い意味で影響していくというものです。
歳をとると筋肉が付きにくい( ;∀;)
歳をとるにつれて筋肉をつけるのが難しくなる理由は主に以下の点にあります。
- 筋肉量の自然な減少:年齢と共に筋肉量は自然と減少します。
これはサルコペニアと呼ばれる現象で、特に50歳以降に顕著になります。 - ホルモン変化:特にテストステロンなどの成長を促進するホルモンの減少が、筋肉の成長と維持に影響します。
- 新陳代謝の低下:年齢と共に基礎代謝率が低下し、筋肉を作り出すのに必要なエネルギーの量が減少します。
- 活動量の減少:年齢と共に活動量が減りがちで、筋肉を使う機会が少なくなることも筋肉量の減少につながります。
- 栄養摂取の変化:加齢に伴い食欲が減少することがあり、筋肉の成長に必要な栄養素の摂取が不足しがちです。
上記内容はご存知の内容も多いかと思いますが、これらを少しで遅らせてくれるのが、早い段階から筋トレをやることが重要だと考えて良いと思います。
研究結果からの結論
論文からの結論は、
●中年期の十分な筋活動が、筋線維の萎縮を抑制する上で重要であると示唆。
●加齢に伴う筋線維の変化と毛細血管数の減少は、独立した現象として捉えられる。
とあります。
ようは早いうちから筋トレをして筋肉をしっかりとつけておけば、高齢になった時に筋肉の量の減り方がしてない人と比べた時に、現象が緩やかになります。
よくある事例としては、プロスポーツ選手などが高齢になってそのスポーツを全くしなくなったとして、筋肉の減少量が一般の方に比べてましなことに起因すると思います。
通常筋肉は使わないと落ちていきますが、落ちていくスピード早いか遅いかは高齢になってから重要になっていくと思います。
補足:研究結果からの考察として
論文の中で、
高齢者の筋力トレーニングの効果は、筋肥大よりも神経系の改善に起因する可能性が示唆されているという考察をすこし深堀りたいと思います。
まず、筋トレーニングが筋肉のサイズや量を増やすことに直接的に作用するのではなく、筋肉を制御する神経系の効率性や反応性を向上させることに重点が置かれる点が挙げられます。このような神経系の改善によって、筋肉の調整と活用が向上し、結果として力の発揮が向上します。
加えて、筋トレーニングは筋肉のモーターユニット、つまり筋繊維を制御する神経細胞の活性化を促進します。特に高齢者においては、筋肥大よりもこれらのモーターユニットの再活性化や効率的な利用がより重要となることが知られています。
また、筋肉と神経が接続する部分である神経筋接合部の機能もトレーニングによって改善され、これが筋肉の収縮能力を高める重要な要素となります。さらに、筋協調性、すなわち複数の筋肉群が協調して動く能力の向上も見られ、これは日常生活での動作改善に寄与します。
加えて、感覚運動能力の向上も見られます。これはバランス感覚や身体認識能力を高めることにつながり、特に高齢者にとって転倒リスクの低減など生活の質の向上に重要です。
最後に、高齢者におけるトレーニングは、脳や神経系の可塑性、つまり変化に適応する能力を高める効果も期待されています。これにより、様々な身体的機能の改善が見込まれるのです。
このように、高齢者の筋トレーニングは筋肉の量や大きさを単に増やすだけではなく、神経系の機能を高めることで身体機能全体の向上に寄与すると考えられます。これは高齢者の健康維持や生活の質の向上に非常に重要な意味を持つことです。